・・・読む、点をつける、それぞれの題の下に分けて書く、草稿へ棒を引いて向うへ投げやる。それから次の草稿へ移る。また読む、点をつける、水祝という題の処へ四、五句書き抜く、草稿へ棒を引いて向うへ投げやる。同じ事を繰り返して居る。夜は纔に更けそめてもう・・・ 正岡子規 「ランプの影」
・・・作家は、草稿や筋を、先ず工場の一般集会でよめ。そして大衆の忠言や注意を利用しろ。文学的団体の間に行われる文学理論上の討論も、工場でやってくれ! こういう決議をした。『文学新聞』にいろいろな工場連名でこの決議が載せられたとき、「鎌と鎚」工・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・イワノフは「装甲列車」を。リベディンスキーは「一週間」を。ピリニャークは代表的な「裸の年」を書いたのである。 各作家めいめいが、めいめいの傾向のままにそれ等を書いたのであったが、十月革命は、その発展の日常具体的な過程によってあらゆる個人・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・国内戦時代のことで、そのような悪童的な放浪の道はたまたま赤軍の装甲列車にぶつかり、そこで汽鑵たき助手などやることがあったりした。そのサーニが、臓品分配のことから刃傷沙汰を起し、半殺しの目にあってシベリアの雪の中に倒れていたところを、その地元・・・ 宮本百合子 「作品のテーマと人生のテーマ」
・・・イヴァーノフが「装甲列車」を書いたのにも、積極的な意味での環境の偶然性があったと思う。十月によって人民の文化の生れる社会的可能は拡大され、その基盤は拡大されたが、そのころは文学的才能の存在には「天賦」的事情が多かった。「私は愛す」の作者・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・テーマに対して群集の有機的な活かしかたこそ、芸術座の「装甲列車」を成功させたのに。 大体、日本にいるとオペラを見る機会がごく少い。いつもレコードでオペラの音楽の抜萃を聞いているぐらいだから、音楽としての美しさだけをつよく局部的にうちこま・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ R氏の家は、丁度市街に沿うてある細長いモーニングサイド公園に近いので、夕食後三十分か一時間も緩くりと散歩し、胃も頭も爽かになった時分に帰って、読書と、昼間書いた草稿を夫人に読んで聞かせ、忠言を得て字句の改正をする。夫人は、同じ灯の下で・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・一九一八年の国内戦のとき白軍が装甲列車をころがしてドン・バスを占領しようと攻撃して来た。ゴルロフカの革命的労働者は社会主義社会建設のためにこの豊富な炭坑区がどんなに大切な意味をもつものであるかということをはっきり知り命をもって守る決意をした・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・ 下から消しの多い草稿をさし上げて見せた。「ポツダム宣言の趣旨に立脚して……その次」 行を目で追って、「ここだ」 重吉は、もっているペンで大きいバッテンをつけて見せた。「今後、最も厳重に――」「そこまでとぶの? ・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・、フセワロード・イワーノフの「装甲列車」、ファジェーエフの「壊滅」等、みんなこの前後に発表されたものだ。 男の作家たちが、めいめいの傾向に相違はありながら、世界最初の社会主義社会が生んだ文学として、値うち高い成果を示している時、婦人作家・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫