・・・つまり、一人の、或いは集団となった農民、学生、労働者をとらえて、プロレタリア的観点から描写するに当って、具体的条件として在る闘争への種々の可能性、矛盾、困難、進展性を相関的にもれなく洞察し、同時にその総和としての全局面を、内国的、国際的解放・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・恋愛のように人間の総和的な力の発動を刺戟する場合、今日の私たちは自分たちの全人間が、その精神と肉体とが互に互のけじめもつけかねる渾然一体で活躍し、互が互の語りてとなって、愛する者に結合することを知っているのである。 ところで、日本の自然・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
・・・したがってあれほど大きい、深い根をおろした文化運動も、日本の歴史では、ちょっとした挿話くらいにしか取り扱われないことになった。 そういうことの行なわれていた間の日本人の思想的情況を知る材料として、私は『甲陽軍鑑』に非常に興味を持つのであ・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫