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・・・木沢殿所持の宝物は木沢殿から頂戴して遣わす。宜いではござらぬか、木沢殿。失礼ながら世に宝物など申すは、いずれ詰らぬ、下らぬもの。心よく呉れて遣って下されい。我等同志がためになり申す。……黙然として居らるるは……」「不承知と申したら何とな・・・
幸田露伴
「雪たたき」
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・・・万一途中相果てたなれば、金子はそのままそちに遣わす。どうじゃ」「へい。それはきっとお預かりいたしまするでございます」「左様か。あいや。金子はこれにじゃ。そち自ら蓋を開いて一応改めくれい。エイヤ。はい。ヤッ」さむらいはふところから白い・・・
宮沢賢治
「とっこべとら子」