・・・ ――電化による生産手段の発達は現在一日平均七・七一の労働時間を六・八六に短縮するでありましょう。プロレタリアート新文化建設の一進展として、文部省は五ヵ年計画の終りには完全な国庫負担による四年制の全国民教育を実施しようとしているのであり・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・と題される文章が「皇太子殿下の御教育」と日本化された翻訳で『文芸春秋』に発表されている。このなかに彼にとって、日本にとって悲劇的な一節がある。皇太子が、教室で、将来何になりたいかという質問に答えて「私は天皇になる」と答えたという前後のくだり・・・ 宮本百合子 「ジャーナリズムの航路」
・・・――これがソヴェトの「電化」であることを理解しなければならぬ。 パッと照明がかわると、滝は忽ち燃ゆる焔の輝きだ。焔色の装をした男がそこいら中をとびまわる。「石油だ! 石油だ!」見物席で謎をといたという風にそういう声がした。 鉄、・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・が、ソヴェト同盟は五ヵ年計画で工場を電化し、優良機械を使用し、生産能率があがればあがる程、国が金持ちになればなる程労働者が直接賃銀としてそのわけ前を得る分量が殖えて来る。現にソヴェト同盟の勤労者はヨーロッパ戦争前の賃銀の平均三倍の賃銀を貰っ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・画……ソヴェトの農村に於ける五ヵ年計画で集団農場の問題をどんどん取扱って行くと同時に、子供の劇場でも、子供に見せるために子供の理解し得る範囲で、やっぱり五ヵ年計画及び農村の問題、それから機械化の問題、電化の問題、そういうものをどんどん扱って・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・ 電化! プロレタリアの勝利はこれだ!」と白字で書いたプラカートが貼られ、一週間ずつの採炭高と生産計画とを対照した興味ある統計図がかかげられている。経営主任の責任ある位置にいるひとはやっと三十そこそこで、その辺にいる誰彼と一向違わない鳶色の・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
それがしの宮の催したまいし星が岡茶寮のドイツ会に、洋行がえりの将校次をおうて身の上ばなしせしときのことなりしが、こよいはおん身が物語聞くべきはずなり、殿下も待ちかねておわすればとうながされて、まだ大尉になりてほどもあらじと・・・ 森鴎外 「文づかい」
・・・そのころにちょうど東京横浜間は電化されたが、鵠沼から東京へ出るには汽車のほかはなく、それも二時間近くかかったと思う。木曜日の晩に漱石山房で話にふけっていれば、終列車に乗り遅れるおそれがあった。それで木曜会に出る度数は減ったが、訪ねて行くとき・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫