・・・ これを方今、我が国内にある上下二流の党派という。一は改進の党なり、一は守旧の党なり。余輩ここに上下の字を用ゆといえども、敢てその人の品行を評してこれを上下するに非ず。改進家流にも賤しむべき者あらん、守旧家流にも貴ぶべき人物あらん。これ・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・われわれの努力は、より強固にされ、明確にされた政治性――党派性によって客観的に現実を理解し、文学運動においてつかむべき当面の環をはっきり知り、それを基準として全同盟の組織活動を整理し、深め、より精力的に企業・農村の大衆の中へ活動することに払・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・このことに連関して、バルザックは王党派であったにも拘らず、プロレタリアの歴史的意味を正しく作品の中に反映していた、それは彼が傑れた芸術家であったからだという風に、簡単な反映論や無意識論が擡頭した。この傾向は、自然主義が日本に移植されてから、・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・何故ならマルクスがバルザックの作品を評したなかで、バルザックが政治的には王党派であったにもかかわらず彼の文学におけるリアリズムの力は、どんな経済学の本よりも当時のフランスの社会相とプロレタリアートの未来を描破しているという意味の言葉を云って・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・「文学の大衆化を、文字通り自分の眼前で実行するには、権力又は政治党派と結合するのが早道である。私は誇張した例を挙げよう。例えばネロは、権力によって自己の作品を大衆に強制した。このギリシヤかぶれの暴君は、自分の作品を非難する者を容赦なく殺した・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・そして、自己批判によって一層高められたレーニン的党派性の理解に立って、この決議の実践、大衆化のために努力し、同時に、わが陣営内の最も害悪ある敵、日和見主義と、いよいよ正しく、譲歩するところなく闘争することを、自身の課題とするものである。・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 最近彼が行った右翼日和見主義との闘争は、同志小林がどんなに正しくレーニン主義的党派性というものを理解し、同志蔵原の実践を発展させているかということを示す、ねうち高いものである。 三月号『改造』に同志小林は「地区の人々」という小・・・ 宮本百合子 「同志小林多喜二の業績」
・・・文学におけるレーニン的党派性の貫徹を、真のボルシェヴィク作家にふさわしく熱情と世界観によって、実践した。 彼を知るものを常に驚歎させた同志小林の不断の創造的エネルギーの源泉は、実にプロレタリアートの革命的エネルギーそのものの中にあったの・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・レーニン的党派性に鍛えられることによって、同志小林は、複雑、矛盾するこの世の諸現象を根源に横たわる、社会的階級的相関関係において把握することを体得し、即ち真理をより正確にとらえ得るに到っていたのである。 同志貴司山治は『改造』四月号の「・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・ 性格的にはベルニィ夫人と全く反対のカストリィ公爵夫人の気に入るために、バルザックは数県から王党派代議士として立候補し、いずれも落選した。所謂高貴な骨董趣味に溺れて莫大な蒐集をはじめたり、邸宅を構えようとしたり。総ては金のいることばかり・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
出典:青空文庫