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・・・ 廿四日、天気好し。隣の客つとめて声高に物語するに打驚きて覚めぬ。何事かと聞けば、衛生と虎列拉との事なり。衛生とは人の命延ぶる学なり、人の命長ければ、人口殖えて食足らず、社会のためには利あるべくもあらず。かつ衛生の業盛になれば、病人あら・・・
森鴎外
「みちの記」
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・・・却説去廿七日の出来事は実に驚愕恐懼の至に不堪、就ては甚だ狂気浸みたる話に候へ共、年明候へば上京致し心許りの警衛仕度思ひ立ち候が、汝、困る様之事も無之候か、何れ上京致し候はば街頭にて宣伝等も可致候間、早速返報有之度候。新年言志・・・
和辻哲郎
「蝸牛の角」