・・・「そう言われるだろうと思って、大阪駅の浮浪者に、毛布だとか米だとかパンだとか、相当くれてやって来たんですよ」「ほう、そいつは殊勝だ」「もっとも市電がなかったので、背中の荷を軽くしなければ焼跡を歩いて帰れませんからね」「そんな・・・ 織田作之助 「昨日・今日・明日」
・・・「そう言われるだろうと思って、大阪駅の浮浪者に、毛布だとか米だとかパンだとか、相当くれてやって来たんですよ」「ほう、そいつは殊勝だ」「もっとも市電がなかったので、背中の荷を軽くしなければ焼跡を歩いて帰れませんからね」「そんな・・・ 織田作之助 「昨日・今日・明日」
・・・「そう言われるだろうと思って、大阪駅の浮浪者に、毛布だとか米だとかパンだとか、相当くれてやって来たんですよ」「ほう、そいつは殊勝だ」「もっとも市電がなかったので、背中の荷を軽くしなければ焼跡を歩いて帰れませんからね」「そんな・・・ 織田作之助 「昨日・今日・明日」
・・・……これでパンでも買え」と言って、十銭遣った。そしてあれからどうしたかということは訊かずに離れてしまった。 が耕吉が改札して出るようになっても、その巡査が来ないのか、小僧はしきりに表の方や出札口前をうろうろしていた。耕吉は橋を渡り、汽車・・・ 葛西善蔵 「贋物」
・・・……これでパンでも買え」と言って、十銭遣った。そしてあれからどうしたかということは訊かずに離れてしまった。 が耕吉が改札して出るようになっても、その巡査が来ないのか、小僧はしきりに表の方や出札口前をうろうろしていた。耕吉は橋を渡り、汽車・・・ 葛西善蔵 「贋物」
・・・……これでパンでも買え」と言って、十銭遣った。そしてあれからどうしたかということは訊かずに離れてしまった。 が耕吉が改札して出るようになっても、その巡査が来ないのか、小僧はしきりに表の方や出札口前をうろうろしていた。耕吉は橋を渡り、汽車・・・ 葛西善蔵 「贋物」
・・・朝は大抵牛乳一合にパン四分の一斤位、バターを沢山付けて頂きます。その彼へスープ一合、黄卵三個、肝油球。昼はお粥にさしみ、ほうれん草の様なもの。午後四時の間食には果物、時には駿河屋の夜の梅だとか、風月堂の栗饅頭だとかの注文をします。夕食は朝が・・・ 梶井久 「臨終まで」
・・・朝は大抵牛乳一合にパン四分の一斤位、バターを沢山付けて頂きます。その彼へスープ一合、黄卵三個、肝油球。昼はお粥にさしみ、ほうれん草の様なもの。午後四時の間食には果物、時には駿河屋の夜の梅だとか、風月堂の栗饅頭だとかの注文をします。夕食は朝が・・・ 梶井久 「臨終まで」
・・・朝は大抵牛乳一合にパン四分の一斤位、バターを沢山付けて頂きます。その彼へスープ一合、黄卵三個、肝油球。昼はお粥にさしみ、ほうれん草の様なもの。午後四時の間食には果物、時には駿河屋の夜の梅だとか、風月堂の栗饅頭だとかの注文をします。夕食は朝が・・・ 梶井久 「臨終まで」
・・・クックッと含み笑いをしていたが、「雀よ。パンの屑を屋根へ蒔いといたんですの」 その音がし始めると、信子は仕事の手を止めて二階へ上り、抜き足差し足で明り障子へ嵌めた硝子に近づいて行った。歩くのじゃなしに、揃えた趾で跳ねながら、四五匹の・・・ 梶井基次郎 「雪後」
出典:青空文庫