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・・・ソレ直ぐに鹿尾菜の代が浮いて出ようというものさ。……実の処、僕が小指の姉なんぞも、此家へ一人二度目妻を世話しようといってますがね、お互にこの職人が小児に本を買って遣る苦労をするようじゃ、末を見込んで嫁入がないッさ。ね、祖母が、孫と君の世話を・・・
泉鏡花
「国貞えがく」
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・・・を立て、二のたてじに棟を渡し、肘木を左右にはね出させて、肘木と肘木とを木竿で連ねて苫を受けさせます。苫一枚というのは凡そ畳一枚より少し大きいもの、贅沢にしますと尺長の苫は畳一枚のよりよほど長いのです。それを四枚、舟の表の間の屋根のように葺く・・・
幸田露伴
「幻談」