・・・由紀子という人が、二人の子供を前とうしろにかかえて外出したということは、その一家に、留守番をしたり子供を見たりする人手の無いことを語っているのである。 警告を発するならば、先ず運輸省の不手際に対して発せらるべきである。更には、存在の無意・・・ 宮本百合子 「石を投ぐるもの」
・・・由紀子という人が、二人の子供を前とうしろにかかえて外出したということは、その一家に、留守番をしたり子供を見たりする人手の無いことを語っているのである。 警告を発するならば、先ず運輸省の不手際に対して発せらるべきである。更には、存在の無意・・・ 宮本百合子 「石を投ぐるもの」
・・・ 日が暮れて、すべてのデモが解散した後も、ここはまだ一杯の人出である。レーニン廟の板がこいの壁画をめぐって、イルミネーションがともされた。 有名な昔の首切台の中には、雲つくような労働者の群像が飾られている。 強烈なアーク燈に照ら・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・ 一昨日の早慶戦では、住んでいるところが外苑から近いので、夕方五時すぎ用があって外出したら、後から後からひどい群集で、電車にものれず、暫く往来でこの人出を見物しておりました。そしたら、もう早速暴行問題で、いやな心持です。新聞で見た応援の・・・ 宮本百合子 「現実の問題」
・・・ 世論調査には、莫大な費用がかかる。人手もいる。そのために、その費用の支出にたえ調査機関としての人手をもち、同時にその世論調査そのものがそれを行う経営にとってあるニュース・バリューをもって宣伝に役立つ場合、世論調査がとりあげられやすい。・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ 世論調査には、莫大な費用がかかる。人手もいる。そのために、その費用の支出にたえ調査機関としての人手をもち、同時にその世論調査そのものがそれを行う経営にとってあるニュース・バリューをもって宣伝に役立つ場合、世論調査がとりあげられやすい。・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・芝生の上はかなりの人出で、毛氈の上に重箱を開いて酒を飲んでいる連中が幾組もあった。大人の遊山の様がいかにも京都らしい印象を彼等に与えた。 円山の方へ向って行く。往来が疎らになった彼方から、女が二人来た。ぼんやり互の顔が見分けられる近さに・・・ 宮本百合子 「高台寺」
・・・こうして悪い条件に速力を鈍らされながら荷物をひっ張るようにいくらかずつよくなってゆくのが実際なのでしょう。人手が揃って静かに陽なたぼっこが出来るような全体の世の中なら、言ってみれば私も半盲になるような途方もないことはあり得ないわけで、一事が・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・こうして悪い条件に速力を鈍らされながら荷物をひっ張るようにいくらかずつよくなってゆくのが実際なのでしょう。人手が揃って静かに陽なたぼっこが出来るような全体の世の中なら、言ってみれば私も半盲になるような途方もないことはあり得ないわけで、一事が・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 夜一時近く赤い広場は煌々たるイルミネーションと人出だ。朝から夕方までおびただしい人間の足の下にあった赤い広場の土はもうぽくぽくになっている。夜気の中でもそのほとぼりと亢奮がさめ切っていないところどころで、臨時施設の飲料水道の噴水があふ・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
出典:青空文庫