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・・・つばを飲み込むと直る。ピークで降りるとドンが鳴った。涼しい風が吹いて汗が収まった。頂上の測候所へ行って案内を頼むと水兵が望遠鏡をわきの下へはさんで出て来ていろいろな器械や午砲の装薬まで見せてくれる、一シリングやったら握手をした。…… 夕・・・
寺田寅彦
「旅日記から(明治四十二年)」
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・・・「フォア、ピークのガットを開けろ。そして、死人と、病人とを中へ入れろ。コレラだ! それから、病人の食事は、ガットから抛り込むことにするんだ。それから、おもての者は、今日からともに来ることはならない。それから、少しでも吐いたり、下したりす・・・
葉山嘉樹
「労働者の居ない船」