・・・この必要を認め、女のそういう奮起、たくましさをよみすればこそ、良人の代りに絣のパッチ・ゴム長姿で市場への買い出しから得意まわりまでをする魚屋のおかみさんの生活力が、今日の美談となり得ているのではあるまいか。 若い女のひとたちに向って、家・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・ 他のヨーロッパ諸国の社会生活の苦悩と自分から出口をふさいでもがいている自己矛盾とに強い印象をうけて戻って来た作者は、日夜の共感をもって、ソヴェトの人々が社会主義社会を確立するために奮起した情熱と実力とにふれた。社会の現実はどのようにし・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
・・・ 私は奮起して字引と首引き、帳面に自分でわかったと思う翻訳をしてゆくのですが、女学校ではピータア大帝が船大工の習業をしたというような話をよんでいるのですから、どうもデルフィの神殿だとか、破風だとか、柱頭、フィディアス等々を克服するのは容・・・ 宮本百合子 「写真に添えて」
・・・抑々資本家地主の支配階級に対してプロレタリア農民が奮起し、闘うのは何故か。搾取があるからです。搾取を一刻でも長くつづけようとするために、あらゆる方法で行われる抑圧があるからです。それらを可能にしている資本主義体制と闘うのは、歴史の必然の力で・・・ 宮本百合子 「同志たちは無罪なのです」
・・・人民が自身の力で国の独立と、生産や文化の確立をなしとげるために奮起しないかぎり、人民というものは搾取の対象でしかあり得ない。ほこりある日本の人民のするべきことは、便乗の可能のない人民である自分たちの立場にむしろ歓喜して、歴史のちりほこりにめ・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・この一点に集中して敵の抑圧の組織を峻烈に検討するだけでさえ、よく一人のプロレタリア作家をして奮起せしめる階級的悪を見いだすのである。「われわれは、われわれがまだこれらすべての醜悪事の十分に広汎、明瞭かつ急速な曝露を組織し得なかったことについ・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・父を失ったあらゆる子供たちの将来の安寧と幸福を築き守るものは、共通の涙と奮起する心とを知り合っている婦人たちの実行ばかりである。 婦人参政権の問題がおこってより、お互によくこういう批評をきいた。日本の婦人は、実に自覚がなくて、自分たちの・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫