・・・その翌々日の事であった、東京なる高山法学士から一通の書状が村長の許に届いた。その文意は次の如くである。 富岡先生が折角上京されたと思うと突然帰国された、それに就て自分は大に胸を痛めている、先生は相変らず偏執ておられる。我々は勿論先輩諸氏・・・ 国木田独歩 「富岡先生」
・・・私をつねにやわらかくなぐさめ顔の、而も文意あくまで潔白なる編輯部の手紙のため、その他、とにかく、いちどは書かなければならぬ事情ありて、断片の語、二十枚あまり書いた。稿料はすべて、私のほうから断って書いた。「人おのおの。おのれひとりの業務にの・・・ 太宰治 「もの思う葦」
・・・故に此一章の文意、美は則ち美に似たれども、特に男子よりも云々と記して男女を区別したるは、女性の為めに謀りて千載の憾と言うも可なり。一 女は容よりも心の勝れるを善とすべし。心緒無レ美女は、心騒敷眼恐敷見出して、人を怒り言葉※て人に・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
出典:青空文庫