・・・ことを立証した最近の文学作品において、はっきり一つの新時代を画した。文体と様式にも著しい変化がもたらされているのである。この複雑雄大なテーマと素材を、その隅々まで描写しつくしたらば、作品は現在あるより少くとも倍の長篇になるべきであった。才能・・・ 宮本百合子 「ゴルバートフ「降伏なき民」」
・・・は、文壇の一つの側に門をあけたが、そこから出現した新進は、文学に新鮮活溌な風をふき起す代り、思惟と感情の異様な蜒り、粘っこさを文体にまで反映して、若き世代の文学が当面している社会的・文学的重圧の大きさを思わしめるものが多かったのである。・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・山川均氏をはじめ、親類の男の誰彼が特殊な事情でそれぞれ女のする家のことをもよくするということで、すべての男性というものを気よくその中へ帰納してしまい、最後に到って飄逸たらんと試みられたものか茶気満々な文体で「たしかに女は家庭の女王である。さ・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・ 何々区ピオニェール分隊がどっしり重い金モールの分隊旗を先頭にクフミンストル・クラブの広間を行進して来た。 右、左! 右、左、止れ! 分列。中央から十二三歳のピオニェール少女がつかつかと演壇にのぼった。茶色の演壇上の赤い襟飾・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・しかし、この作品は、当時まだジイドが宗教や家庭の日常習慣に抑制されていたのと、当時の象徴派の文学的傾向に従っていたので、文体も綺麗ごとに終り、苦しむ青年の魂をひきよせるかわりに、メエテルリンクから「悲しい不思議な、乙女達の愛読書」と評された・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・やはり作者が描こうとした現実とのなまなましい有機的なつながりで構成や文体をも批評することはあきらかである。その際、事件の発展の順序、比重、描写における精疎のリズムなどを何によってわれわれが判断するかといえば、描こうとされている現実の複雑な諸・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・― ― ┌〃 100 53.3 42.3 0.6キルギス ┤ └〃 100 7.8 ― ― ピオニェール教育は、いつも学校外のピオニェール分隊でされる。そこで男の子と女の子とは同・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・レーニングラード市内各区の、小学校・ピオニェール分隊・児童図書館・子供の家・工場学校は、それぞれきまった日に、この「若い観衆の劇場」から無代の切符配分をうける、その予告なのである。 親たちは大人の劇場へ職業組合からの半額、あるいは無代の・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・スターリンの時代と経てきた。スターリンの文体は、その明確さ・簡明さ・溢れる生命力の美で、言語芸術の領域に新時代を画している。第二次大戦中の十月記念日に、メーデーに、スターリンがおくった激励の挨拶の、あの人間らしい暖かい具体性、肺腑にしみ入っ・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・の内容的な特徴は、徳永さんもふれているとおり文体の上にくっきり出てきてもいます。この文体には一種の気品があります。なぜでしょう。こしらえた気取りは一つもないが、描こうとする一つ一つの対象にたいして、作者の内面的全構成が統一をもってまともにと・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
出典:青空文庫