・・・技師が生産組織の内部で、反革命的策動をやる例は、一九二八年、国家保安部によって摘発されたドン炭坑区に於けるドイツ資本家と結托した大規模な反革命の陰謀を見てもわかる。ソヴェトの党・労働組合がプロレタリアートの中から優良な技術家を養成しようとし・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・日本の人民の独立に関する一つの問題としてあれほどみんなが関心をもった大学法案、二十七名の中立的な学者たちが反対署名した非日委員会問題、「南原の線を守る」という表現がある意味では常識となって来ているほど広汎に人事院とりしまり規則に反対している・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・荒々しい条件におかれた自身の荒々しい所行の物語といっしょに、恐怖をもって臆測されている北鮮の治安が実際にはよくて、保安隊の若もの、土地の人々の親切、ソ同盟の兵士の素朴な人間ぽさなども、それがそうであったように語られている。北鮮の新幕から三十・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・そしてラジオの民主化が、意識的に停滞させられているうちに、さる六月逓信省は放送事業法案を国会に上程した。 この法案は日本のラジオの自由と健全な発展を期するために立案されたものであるとして公表された。しかし一般にこの法案が日本のラジオの民・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・一月三十一日の朝日新聞は三輪田元道氏、山脇女学校教師竹田菊子氏、警視庁保安課長国監氏等の意見をのせている。等しくレビューの男役をする女優、例えば水ノ江タキ子その他に若い女学生が夢中になって、その真似をして髪を切るとか、何か贈り物をしたいため・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・放送の自由をまもり健全な発達を目的とする」放送法案が六月十八日に提出された。これまでの放送協会の仕事ぶりには、いろいろの批判が加えられなければならない。内部の運営が民主的でないこと、プログラム編成が低俗であり昨今は労働、農民、報道、子供のた・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・奴隷的大学法案が出されています。言論出版の自由というものはどうでしょうか。科学が一つの歴史的情熱となっているソヴェトと比べて、日本の科学はどんな扱いをうけているでしょう。知能労働者はこちらでは休みの家もなく、業績に対して社会的保証がありませ・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・人民の公器であるラジオの民主化がいわれているうちに、政府は全く官僚統制の放送事業法案を議会に上程した。これらの言論・出版の自由の抑圧にしても、きょうでは、出版の民主化とかラジオの自由な発展とかいう表現に便乗して行われようとしているのである。・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・大学法案というものを出して、これもごうごうの非難をあびている。大学法案は日本の学問が自主的に発展してゆく道を失わせるために最も効果がある。たださえ日本人は猿まねと軽蔑をまねいて、心ある日本人に苦しい思いを抱かせているその日本の学術精神から、・・・ 宮本百合子 「平和をわれらに」
・・・大学法案に反対して、日本の学問と大学の自主をまもりとおした学生の意欲。日本の愚民教育に反対する世論を、全日本的な発言として組織した情熱。そしていま、日本から理性の存在そのものをつみ取ろうとするレッド・パージに対する反対。一つとして、われわれ・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
出典:青空文庫