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・・・と称するもので、これは馬を襲ってそれを斃死させる魔物だそうである。これに関する自分の知識はただ、磯清氏著「民俗怪異篇」によって得ただけであって、特に自分で調べたわけではないが、近ごろ偶然この書物の記事を読んだ時に、考えついた一つの仮説がある・・・
寺田寅彦
「怪異考」
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・・・を盗もうとして耳のような眼玉を輝かせた蜘蛛の魔物の膝元に忍び寄る姿を見るだろう。 真個に彼は、奇怪な美を持っている。彼の書く寓話は地上のものではないようにさえ見えるのである。 けれども、其なら彼はその耽美の塔に立て籠って、夕栄の雲の・・・
宮本百合子
「最近悦ばれているものから」