・・・なんとならば、再びキャベツを用いたのでは、キャベツを用いたという質的レコードは破れないし、それかといってたとえばももんがあをかぶって新宿の通りを歩いてみても追いつかない。キャベツとももんがあ、銀座と新宿との優劣はいくら議論しても決定する見込・・・ 寺田寅彦 「記録狂時代」
・・・どうかすると四つ足を両方に開いて腹をぴったり芝生につけて、ちょうどももんがあの翔っているような格好をしている事もあった。たぶん腹でも冷やしているのではないかと思われた。 芝を刈っているといつのまにか忍んで来て不意に鋏のさきに飛びかかるの・・・ 寺田寅彦 「ねずみと猫」
・・・いっそ、どうだい、そう云う、ももんがあを十把一とからげにして、阿蘇の噴火口から真逆様に地獄の下へ落しちまったら」「今に落としてやる」と圭さんは薄黒く渦巻く煙りを仰いで、草鞋足をうんと踏張った。「大変な権幕だね。君、大丈夫かい。十把一・・・ 夏目漱石 「二百十日」
出典:青空文庫