・・・そして、自分達も、文学研究会では、やたらに文学団体の各名称について通をふりまわし、作詩と称して実際生活から遊離した言葉をこねくりまわして、並べたり、千切ったりするようになった。 当時は、技術的に一応出来上っていた同伴者作家が、全露作家協・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・帝国主義の侵略戦争を世界のプロレタリアートの党は全力をもってその国のプロレタリア解放のために有利に展開させなければならない。が、この作品競技でその事業の具体的な困難さを理解しているものはまるで少なかったのである。 ファシストの手先となっ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・職場の特殊性をすべて争議団側に有利なように科学的に利用している点とともに、革命的指導による極めて新しいストライキの型を示すものであった。交通産業上に歴史的なばかりでなく、これまで日本にあったストライキから見ても、溌溂とした闘争力、計画性、科・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・林弁護人の陳述の中では検事団が三鷹事件の証人を検事側に有利に利用する為には偽証罪をふりかざし、証人呼び出しの不意打ちなどの技術を指導している事実が語られています。権力が私達すべての人民に共通な人権を踏みにじってゆく方法はこの様に計画的であり・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・「太陽の人間の体にとって有利な光線を透す。だから、きっと子供たちは衰弱しなくなるだろう」と。〔一九三〇年十月〕 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・古い純文学は、現実生活から特殊な文学的世界へ遊離してしまっていた薄弱さから旧特権とともに崩壊し、過去の大衆文学は特権者の利害のために無智におかれ従属におかれていたこれまでの民衆生活をふりすてると共に多数の人々にとって慰安のたねにもならなくな・・・ 宮本百合子 「商売は道によってかしこし」
・・・など、作品としてはいろいろの未熟さその他の問題をふくんでいるとしても、作品が生活から遊離していない点でやはり読者の心をひくものをもっていると思う。 終りにのぞみ、何心なく『文芸街』の頁を繰っていたら『九州文化』などいう雑誌の名も見え、東・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・古い例でいえば、徳川末期の武家権力の崩壊期に、経済的実力をもってきた町人階級が、士農工商の封建身分制にたいする反抗として遊里という治外法権地域をつくり、馬琴の文学にたいして、京伝らの文学をもった場合にもこのことが見られました。町人文学と劇、・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・般な現実的感情であるという強引な結論と政策によって今日圧殺されているのであるし、知識人の一部は、所謂進歩的といわれる知識人達が求めているような合理性や人間性の自覚とその発露の要求は民衆の心持の日常から遊離した夢、公式であると高唱して、知識人・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・この人物が四十年のロシアの歴史の波と結びついている、その関係の受動性、謂わば無気力、或る面での歴史の波から個人的な穴の中への遊離は、私達に、作家とその日常生活とはかくも緊密なものであるという一箇の教訓として見える位です。一九三二年にモスクへ・・・ 宮本百合子 「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」
出典:青空文庫