・・・並びに「気象輪講」ルーベンスの「物理輪講」アドルフ・シュミットの「海洋学」「地球のエネルギーハウスハルト」「地球物理輪講」キービッツの「空中電気」ワールブルヒの「理論物理学特別講義」ペンクの「地理学輪講」という御膳立にきめた。 ヘルマン・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・ かの地ではおいおい趣味の上の友だちができて、その人たちと寄り合って外国文学の輪講会をやったりしていたようである。絵もいろいろかいていたらしい。ある時はたんねんに集めていた切り抜き版画などの展覧会をやったり、とにかく相当に自分の趣味を満・・・ 寺田寅彦 「亮の追憶」
・・・昨夜華光来趁我、臨行奪下一金磚、と歌いきって櫓を放した。それから船頭が、板刀麺が喰いたいか、飩が喰いたいか、などと分らぬことをいうて宋江を嚇す処へ行きかけたが、それはいよいよ写実に遠ざかるから全く考を転じて、使の役目でここを渡ることにしよう・・・ 正岡子規 「句合の月」
・・・(コロナは六十三万二百 ※‥‥‥ ) 楊の木でも樺の木でも、燐光の樹液がいっぱい脈をうっています。 宮沢賢治 「イーハトーボ農学校の春」
・・・ 全く私のてのひらは水の中で青じろく燐光を出していました。 あたりが俄にきいんとなり、(風だよ、草の穂こんな語が私の頭の中で鳴りました。まっくらでした。まっくらで少しうす赤かったのです。 私はまた眼を開きました。 いつの・・・ 宮沢賢治 「インドラの網」
・・・れいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、野原にはあっちにもこっちにも、燐光の三角標が、うつくしく立っていたので・・・ 宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
・・・雪は青白く明るく水は燐光をあげた。すばるや参の星が緑や橙にちらちらして呼吸をするように見えた。 その栗の木と白い雪の峯々にかこまれた山の上の平らに黒い大きなものがたくさん環になって集って各々黒い影を置き回々教徒の祈るときのようにじっと雪・・・ 宮沢賢治 「なめとこ山の熊」
・・・金剛石がはげしくぶっつかり合っては青い燐光を起しました。 その宝石の雨は、草に落ちてカチンカチンと鳴りました。それは鳴るはずだったのです。りんどうの花は刻まれた天河石と、打ち劈かれた天河石で組み上がり、その葉はなめらかな硅孔雀石でできて・・・ 宮沢賢治 「虹の絵具皿」
・・・ギッピウスの詩は、腐敗したロシアのブルジョア社会が放つ気味悪い燐光として閃きわたった。 現在、ソヴェト同盟の婦人作家として活動している婦人作家のなかの多くの人々は、もうこの時代に生れていた。ヴェラ・インベルはいろいろな用紙印刷人の父、小・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫