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・・・それだけ、この『現代文学論』一冊は、評論としての正統な理論的追究と同時に、文学の芸術的因子にこまかくふれた論考であるということが云えるのだと思う。 この十年の間に、日本の文学は実に激しい風浪にさらされた。社会の屋台骨ごと揉まれている。著・・・
宮本百合子
「作家に語りかける言葉」
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・・・窪川鶴次郎の『現代文学論』は昨年の冬出版され、数年来の文学の動向を、個々の現象に即しながらそれを原理に近づいて論考した所産として、少なからぬ興味を有するものであった。 多岐多難な現代の日本文学が、今日と明日とに向って自身の最大の課題とし・・・
宮本百合子
「昭和の十四年間」