・・・ことに空気を局部的に熱したときに起る対流渦動の実験にはいつもこれを使っていたが、後には線香の煙や、塩酸とアンモニアの蒸気を化合させて作る塩化アンモニアの煙や、また近頃は塩化チタンの蒸気に水蒸気を作用させて出来る水酸化チタンの煙を使ったりして・・・ 寺田寅彦 「喫煙四十年」
・・・あの時分はアンモニア水を塗るというような事は誰も知らなかったのである。 とにかくこんなところに蜂の巣があってはあぶないから、落してしまおうと思ったが、蜂の居ない時の方が安全だと思ってその日はそのままにしておいた。 それから四、五日は・・・ 寺田寅彦 「小さな出来事」
・・・「何だいこの薬は。」デストゥパーゴが叫びました。「アンモニア二%液。」と親方が落ち着いて答えました。「アンモニアは効かないって、今朝の新聞にあったじゃないか。」 デストゥパーゴは椅子から立ちあがりました。デストゥパーゴは桃い・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
出典:青空文庫