・・・一寸エピソードへ出るのが百五十ルーブリ位。―― ――古いことだが、プドフキンが映画の「生ける屍」で主役をやったことがあったね。監督も自分だったろう? するとどうなるんだろう。両方分で千何百ルーブリか? ――さあ、どうなるんだろう。わ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・が、その事実の歴史的、政治的把握の確かさ、文章の活々した情熱、恐ろしい困難、闘争、建設を貫き彼女が身をもって経験した数々のエピソードの感銘ふかさは読者をつよく動かした。写真を見たものは、みんなはレイスネルの優美さにおどろき、この優美な一人の・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・この上流の令嬢が、あるとき一匹の犬が負傷しているのを見て大層可哀そうがって、折からそこにいあわせた牧師を大人のように命令して手伝わせながら、その傷の手当をし、副木をつけてやるまでは満足しなかったというエピソードが、生れながら慈悲の女神であっ・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・雪上出版記念会を行ったというエピソードは、朗らかなようではあるが、私に一つのことを想い起させた。それは、明治二十何年という時代、三宅花圃、田沢稲舟などという婦人が、短篇小説を当時の文芸倶楽部にのせた時、出版書店は御礼として半衿一かけずつを呈・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・とのことで、計らずゴーリキイの全生涯の方向を暗示するまことに面白いエピソードが「幼年時代」に語られている。 或る日、「結構さん」の部屋で、「結構さん」は煙の立つ液体をいじって部屋中えがらっぽい匂いで一杯にしている。ゴーリキイはボロのしま・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・とのことで、はからずゴーリキイの全生涯の方向を暗示するまことに面白いエピソードが「幼年時代」に語られている。 或る日、「結構さん」の部屋で、「結構さん」は煙の立つ液体をいじって部屋中えがらっぽい匂いで一杯にしている。ゴーリキイはボロのし・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・その背景とし、侵略者としての本質をかたるエピソードとして、土方という隊長の階級的タイプを一貫して描きつつ、主人公野田その他の性格と動きとを蒙古の原始的生活の前に描き出さるべきであった。 二百七枚の原稿の間には論文またはレポートの部分が三・・・ 宮本百合子 「予選通過作品選評」
・・・むずかしい顔をしたゴーリキイ、室の入口にのろまな顔をしてピストルを下げ突っ立っている番兵の写真も今となれば面白い一つのエピソードだ。 大きい三つの室を通して一九一七年の二月革命から遂にボリシェヴィキが勝利し、ソヴェト権力を確立したところ・・・ 宮本百合子 「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」
・・・ これは中世の騎士伝説の中で圧巻的なエピソードだと思う。騎士達は礼儀正しく貴婦人達の前に跪き、その手に接吻し、その人の身に着いたものをマスコットとして試合に立ち向った。そして彼女達のために音楽を奏し、狩猟のお供をし、奪掠者から彼女達・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫