・・・又雑婚が盛んになって総ての犬が尽く合の子のカメ犬となって了ったように、純粋日本人の血が亡びて了うと悲観した豪い学者さえあった。国会とか内地雑居とかいうものが極楽のように喜ばれたり地獄のように恐れられたりしていた。 二十五年前には東京市内・・・ 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・私の名は、カメよカメよ、と申します。」 月日。「きょうは妙に心もとない手紙拝見。熱の出る心配があるのにビイルをのんだというのは君の手落ちではないかと考えます。君に酒をのむことを教えたのは僕ではないかと思いますが、万一にも君が酒で・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ 一 夢 百、二百、簇がる騎士は数をつくして北の方なる試合へと急げば、石に古りたるカメロットの館には、ただ王妃ギニヴィアの長く牽く衣の裾の響のみ残る。 薄紅の一枚をむざとばかりに肩より投げ懸けて、白き二の腕さえ明・・・ 夏目漱石 「薤露行」
・・・スピークやグラント、リヴィングストーン、カメロン、スタンリー、シュワインフルト、ユンケル、デ・ブラッザ、なども同じものを見たのである。が、前世紀には、アフリカの高い文化はすべてイスラムに帰因するという迷信が支配していた。スーダンの文化なども・・・ 和辻哲郎 「アフリカの文化」
出典:青空文庫