・・・そして、膝にのせた手のさきから、燃え尽した巻煙草の灰がほとりと落ちて、緑のカーペットに砕ける。 寺田寅彦 「秋の歌」
・・・ほかの日には書斎のカーペットがすり切れているほど机のぐるりを歩き廻って、朝九時から夜中まで仕事しているカールも、日曜日ばかりはイエニーと子供たちとの完全なとりこになった。カールは子供たちが小さかった時、こういう散歩の道みちに無尽蔵の即興お伽・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・床の上には色の凝ったカーペット二つ三つ。 入った時、改って体が真直になるような感じでなく吻っと安らかになり、先ずぽっくりと腰を下ろして、呑気に雑談でも出来るようにありたく思います。 食堂との境は、左右に開く木扉で区切っても、単に・・・ 宮本百合子 「書斎を中心にした家」
出典:青空文庫