・・・林間学校、キャンプ生活、いずれも理想的なるに相違ないが、それには、費用のかゝることであり、無産者の子供は、加わることができない。要は、適当なる社会政策の施されざるかぎり、学校か、町会などにて容易に実行されることでなければならぬ。 これに・・・ 小川未明 「児童の解放擁護」
・・・ 寝ながら、T君の小浅間頂上のテント生活と、近代青年男女の間に流行するいわゆるキャンプ生活との対照を思い浮かべてみた。後者のままごと式の野営生活もたしかに愉快でもありまたいろいろな意味で有益ではあろうが、しかし、前者の体験する三昧の境地・・・ 寺田寅彦 「小浅間」
・・・捕虜として各地でキャンプ生活をしながら生産労働に従ってきたひとびとの見聞は、その特別な事情から受ける制約があって、いた場所によって、収容所長の性格によって、まちまちな経験がされている。同時に日本の大衆が人民的な民主主義の道を歩きはじめて、中・・・ 宮本百合子 「あとがき(『モスクワ印象記』)」
・・・ 古貨車を利用してこしらえた農業労働者のキャンプのわきには、炊事車が湯気を立てている最中だ。 婦人労働者の派手な桃色のスカートが、炎天のキャンプの入口にヒラヒラしている。彼女は日やけした小手をかざして、眩しい耕地の果、麦輸送の「エレ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・通りすがりの窓から内部の板壁に貼ってある専門地図、レーニンの肖像、数冊の本、バラライカなどが見えた。キャンプ用寝室も置かれてある。 折から手のすいていた四五人の労働者に、珍しく更紗のスカートをつけた若い女が一人混って、試掘の行われている・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ 共同農場でも同じ様で、大きなものになると、収穫時にはキャンプ生活をやるのだが、その一つのキャンプが「クラブ」になる。ラジオ、読書室、キャンプ新聞発行所等があり移動映画隊を利用する。「クラブ」の映画について云えば、映画の研究と見学批判を・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの「労働者クラブ」」
出典:青空文庫