・・・ ところが、去年の秋、俗に赤新聞とよばれている大阪日日新聞の音楽コンクールで、彼の三人の弟子たちが三人とも殆ど最高点に近い成績を取った。「それ見ろ」 と庄之助は呟いた。「――世間の教師らはヴァイオリンの教授を坊ちゃん嬢ちゃん・・・ 織田作之助 「道なき道」
・・・まず手はじめに、シベリヤ生活のなかであなたが経験された「創作コンクール」はどんな風にして行われ、当選作品はどんな風にしてみんなに発表され、よまれ、批評されたか、そのいきさつや、情景についてみじかいルポルタージュを書いて『新日本文学』へお送り・・・ 宮本百合子 「結論をいそがないで」
・・・そのような労農通信員のルポルタージュ・コンクール、小説コンクールももたれ、優秀な作品は出版される。すべての出版物は、特別なもののほか、いつもルポルタージュや小説、詩のための場面を、大衆の中からの執筆者に向って開放している。現代の若い作家の大・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・舞踊でも、オペラでも、文学でも、あらゆることが、文化サークルの中にあって、そこで、この人たちの好きな、やりたいことをやっているうちに才能が成長し、発見され、みんなが助け合って地区の文化サークルのコンクールに当選する、さらに地方のコンクールに・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・ 本年は、このサークルや職場の人々の間にもたれる文学コンクールの成績が、一そう文学的に評価されるものとなるでしょう。そして民主主義文学の中核をなすべき勤労階級の文学は、だんだんその流れの幅をひろげるでしょう。日本に新しい生活と新しい文学・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・また、新日本文学作品コンクールが行われ、その選が行われています。どんな作品と作家とが登場するでしょうか。いろいろの意味で期待されます。ほんとうに新しい、若々しい、柔軟なこころをもってかかれた作品が出たらうれしいと思います。 日本における・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・その他労働者によってかかれる作品がでてきたし、全逓の文学コンクール、国鉄の集団的文学活動など新しい民主的文学の芽がもえだした。けれどもその半面では、ドストイェフスキーばりの椎名麟三の作品が流行しはじめ、また新日本文学会と同時に活動をはじめた・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
出典:青空文庫