・・・オールサービスべたモーション。すすり泣くオールトーキ」と歌うように言って、「――ショートタイムで帰った客はないんだから」 色の蒼白い男だが、ペラペラと喋る唇はへんに濁った赤さだった。「だめだ。今夜は生憎ギラがサクイんだ」 ギ・・・ 織田作之助 「世相」
・・・ 箱根ホテルでは勘定をもって来てくれと四、五度も頼んで待ち草臥れた頃にやっと持って来たのであったが、熱海ホテルの方ではまだお茶を飲んでいる最中に甲斐甲斐しい女給仕が横書きの勘定書をもって来て、「サービス三十銭頂戴します」と云った。箱根の・・・ 寺田寅彦 「箱根熱海バス紀行」
・・・ing the typhoon of the Far East comprises the fruits of his long practical experience of prediction service. It is inter・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・職業婦人の働く場面というと、事務員、店員その他いわゆるサービス・インダストリーが従来は主要部分を占めていた。数の上からだけ見れば、今日も明日もそうであるかもしれない。けれども、時局の要求する生産拡充への大努力によって重工業、化学、食料、織縫・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・四月 十三日 夕方七時頃から岩本さんと三人で、Music Service に行く。四月 十四日 月曜 夜、メトロポリタン オペラに行く。ファラーとカルーソーのカルメン 夜十二時過外を歩く。四月 十六日 つもった・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・つんつんすりゃ仇されるしさ、うっかりサービスすりゃエロだってひっかけるしさ。――お店だってよくかり倒されんのヨ」 引っぱられて来るのは女給が一番多く、そのほかでも、話を聞いて見ると八割までは、媒合、売淫、堕胎など、資本主義社会における女・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ 良子嬢が、浅草のカフェー・ジェーエルで、味噌汁をかけた飯を立ち食いしつつも朗らかに附近のあんちゃん連にサービスし人気の焦点にあったという新聞記事をよんで、一般の人々はどんな感想を抱いたであろうか。 所謂名流家庭の親たちの中では駭然・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・ ラジオ・サービスとして移動ラジオ相談所を設けたり、明朗聴取運動をおこしたり、様々の点で聴取者の便宜は考えられている。そういう細部での便宜があればある程、聴取者の心持に、こういう調子で短波も受けて、アメリカやフランスの国際放送を聴いて見・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫