・・・英国の山川詩人が、故郷の自然を愛したのは、清純な魂によってである。スコットランドの素朴な風景や、居酒屋に集る人々等は、バーンズによって、永久に芸術に生かされている。 北方派の画家等にして、南欧の明るい風光に、一たび浴さんとしないものはな・・・ 小川未明 「彼等流浪す」
・・・なんの感激も無しに立って、「卓に向い、その時たまたま記憶に甦って来た曾遊のスコットランドの風景を偲ぶ詩を二三行書くともなく書きとどめ、新刊の書物の数頁を読むともなく読み終ると、『いやに胸騒ぎがするな』と呟きながら、小机の抽斗から拳銃を取り出・・・ 太宰治 「女の決闘」
・・・ スコットランドの湖水に怪物が現われたというのでえらい評判であった。しかし現代のジャーナリズムは、まだまだ恐ろしいいろいろの怪物を毎朝毎夕製造しては都大路から津々浦々に横行させているのである。そうして、それらの怪物よりもいっそう恐ろしく・・・ 寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
・・・ スコットランドのバラッドに Sweet William's Ghost というのがある。この歌は、或女の処へ、其女の亭主の幽霊が出て来て、自分は遠方で死だという事を知らすので、其二人の問答の内に、次のような事がある。“Is t・・・ 正岡子規 「死後」
・・・そら、むすこが、エングランド、ロンドンにいて、おやじがスコットランド、カルクシャイヤにいた。むすこがおやじに電報をかけた、おれはちゃんと手帳へ書いておいたがね、」 じいさんは手帳を出して、それから大きなめがねを出してもっともらしく掛けて・・・ 宮沢賢治 「月夜のでんしんばしら」
・・・p.72のルカシュスの言葉〔欄外に〕 ドイツ ルーテル スコットランド ノックス フランス カルヴァンイタリーの乱脈 メディシスの私生子万歳時代への反動として。p.72 宗教改革とギルド=市民階級のもの、・・・ 宮本百合子 「バルザック」
出典:青空文庫