・・・Full soon thy soul shall have her earthly freight,And custom lie upon thee with a weight,Heavy as frost, and dee・・・ 国木田独歩 「牛肉と馬鈴薯」
・・・ たとい彼らにとって当面には、そして現実身辺には、合理的知性の操練と、科学知の蓄積とが適当で、かつユースフルであろうとも、彼らの宇宙的存在と、霊的の身分に関しては、彼らが本来合理的平民の子ではなくして、神秘的の神の胤であることを耳に吹き・・・ 倉田百三 「学生と読書」
・・・ムネイタイノ、ト君チャンガキクト、イヤト頭ヲフルノ。アトニナッテ、又ムネイタイノ、トキクト、ダマッテ目ヲツブッテ、ソレカラムネナンテ何ンデモナイ、ト云ッテ、君チャンノカオヲ見、何ンベンモソットナミダヲフイテルノ。 オ母ッチャモヤセテ、目・・・ 小林多喜二 「テガミ」
・・・などもhまたはfにrの結合したものである。full, voll, πλω なども連想される。 夏と熱とはいずれもnとtの結合である。現代のシナ音では、熱は jo の第四声である。「如」がジョでありニョであり、また「然」がゼンでありまたネ・・・ 寺田寅彦 「言葉の不思議」
・・・帰った日から祖母の容態が進み、カムフル注射をするようになった。十中八九絶望となった。祖母は、心持も平らかで、苦痛もない。私は、父の心を推察すると同情に堪えなかった。父は情に脆い質であった。彼にとって、母は只一人生き遺っていた親、幼年時代から・・・ 宮本百合子 「祖母のために」
・・・として Full にものを云い得る。愛する男の美しさについて、その皮膚のすみずみに対する愛について、階級的統一のもとにあますところなく云い得る。 故にこれで明らかなように人体の美も、社会主義の社会において始めて曇りなく描きたたえ得るもの・・・ 宮本百合子 「婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?」
出典:青空文庫