・・・この立場からいうならば、すべての人はこの衝動を持っているがゆえにブルジョアジーとかプロレタリアートとかを超越したところに芸術は存在すべきである。けれども私は衝動がそのまま芸術の萌芽であるといったことはない。その衝動の醇化が実現された場合のみ・・・ 有島武郎 「想片」
・・・だが、それでもわからない人にはわからないようだから、なおいっそう平面的に言うならば、第一、私は来たるべき文化がプロレタリアによって築き上げらるべきであり、また築き上げられるであろうと信ずるものである。ブルジョアジーの生活圏内に生活したものは・・・ 有島武郎 「広津氏に答う」
・・・第四階級の人々は文化的にある程度までブルジョアジーに妥協し、その妥協の収穫物を武器としてブルジョアジーに当たっている時である。僕の言葉でいうならば第四階級と現在の支配階級との私生児が、一方の親を倒そうとしている時代である。そして一方の親が倒・・・ 有島武郎 「片信」
・・・ 兵士たちは、こういう植民地の労働者を殺戮するために使われ、植民地を帝国主義ブルジョアジーに最も都合がいいように確保するために使われ、その結果はどうなるか? その結果は、帝国主義ブルジョアジーが、一日だけ余命を長く保って、労働者農民・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・ 戦争反対の文学は、かなり昔から存在して居るが、ブルジョアジーの戦争反対文学と、現代プロレタリアートの戦争反対文学とは、原則的に異ったものを持っている。戦争反対の意図を以て書かれたものは、古代ヘブライの予言者マイカのものゝ中にもある。民・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・等、ブルジョアジーがその生産方法の上に利用した科学の芸術的反映として、ブルジョア社会建設のために動員され、そして発展したものである。だから、そのなかに、日本ブルジョアジーの特色の一つをなす、軍事的性質が反映しているのは、怪しむに足りない。・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・ 宏壮なビルディングは空に向って声高らかに勝利を唄う。地下室の赤ん坊の墳墓は、窓から青白い呪を吐く。 サア! 行け! 一切を蹂躙して! ブルジョアジーの巨人! 私は、面会の帰りに、叩きの廊下に坐り込んだ。 ――典獄に会わ・・・ 葉山嘉樹 「牢獄の半日」
・・・ これは、ブルジョアジーと、プロレタリアートとの間にも通じる。 プロレタリアは「鰹節」だ。とブルジョアジーは考えている。 プロレタリアは、「俺達は人間」だ。「鰹節」じゃない。削って、出汁にして、食われて失くなってしまわねばならな・・・ 葉山嘉樹 「労働者の居ない船」
・・・良人カールとその同志たちの行動は「実に犯してよい行動、本来からいえばブルジョアジーの果すべき義務であるべきもの」であるとしたエンゲルスの理論の正当さは、妻たるイエニーの愛情を通して犇々と理解されたに違いない。プロシヤ政府は外国人の退去命令を・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・ ファシスト、ブルジョアジー、官僚・軍閥、懶けて飲んだくれな非階級的労働者、官僚主義で形式主義で能なしの党員、社会ファシストとなった民主主義者などは、ソヴェト同盟の或る種の芸術の中ではもう漫画的に様式化されてさえいる。 ソラ出た! ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
出典:青空文庫