・・・当時の文筆家は、実際に新興ブルジョアジーが最も必要とした文明開化の輸入者、供給者、啓蒙者であった。所謂要路の大官の開化思想の方向とその実行の内容を暗示し、指導し得る立場にあった。これ等の人々は、若いブルジョア日本の建設期に、文化的な活動と文・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・列強ブルジョアジーの第二次世界戦争の準備に対し、世界のプロレタリア作家の闘争は激化されるが、東洋のポーランドである日本においてプロレタリア作家の歴史的使命は、革命的大衆の任務とともに画期的なものがある。 林房雄は、プロレタリア作家として・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・ところが、階級対立が激化し、帝国主義戦争=大衆の大量的死がブルジョアジーにとって必要となってくるにつれ、文化のいろんな部面に神秘主義が現れて来ていた。 今年になって、沢山の婦人雑誌が特別附録として、「迷信」「占ない」などの記事を盛んにも・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・て、それを出来るだけ早くとりのぞき、まず近代のブルジョア民主主義を完成しなければならないのだから中国、日本などの歴史では、ヨーロッパ諸国で十八世紀、十九世紀の間にブルジョア民主主義を完成した市民社会、ブルジョアジーの階級としての確立がなかっ・・・ 宮本百合子 「三つの民主主義」
・・・私たちがこの日本を民主化しなければならないという今日必然の条件は、日本の明治維新当時、ブルジョアジーが、半ば封建的な自身の歴史性から中途半分にしか日本を近代民主化させて置かなかったというところから起っている。婦人を、男子と等しい社会の成員と・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫