・・・一家揃って元気よく、一日の活動に出発する第一の食事をなさるその時間に、ラジオは耳から、心の糧を送ろうとして、この時間のプログラムは考えられているのでしょう。けれども、けさの食卓は、お互さまにいかがなものでしょうか。 これまで、一家の・・・ 宮本百合子 「公のことと私のこと」
・・・――あれがないとプログラムが変るんだが……」「どこです」「え?」 私はたのしみの為にわざと返事を明かにせず行くと、右手の石や材木や乱脈の上に「前川、この先に移転仕り候」と大きな看板が出ていた。「よかったわね」「よかった」・・・ 宮本百合子 「九月の或る日」
・・・ ソヴェトの五ヵ年計画は、大衆の日常生活のプログラムを変化するとともに、次第次第に大衆の気分をもかえて来た。どんな小さい隅っこの職場に働いている労働者も、社会主義社会の建設のために自分が無関係ではないことを前にもまして自覚した。厳密な階・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・父はしっかりしているし、がんばりなのに、そして若々しいのにびっくりし、私は自分の思いやりが常識的であるのを感じた次第ですが、父はちゃんと自分でのんきに、正月をおくるプログラムを立てていて、私の心配はそれはありがたかった、というところで終りま・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・だいたい健全なプログラムで毎日がすぎ、出来るだけ夜ふかしはしません。でもこの間、「わが父」を『中央公論』に書いたときは徹夜してしまいましたが。 きのう速達で手拭、タオル、下へはくもの、単衣、フロ敷等お送りし、フトンは敷布を添えました。タ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・九十二・五カペイキ 切符代二十カペイキ 電車賃往復十カペイキ プログラム 芝居は七時半から始って十一時すぎ終る。モスクワ人は正餐を午後の五時すぎ、つとめ先から帰ってたべる。寝るまで、せめて茶とソー・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・内部の運営が民主的でないこと、プログラム編成が低俗であり昨今は労働、農民、報道、子供のための放送にはっきり民主化からの後退が示されてきていることが世論にのぼっている。しかし、こんど上程された法案のように保守政党が占める両院の承認を経た五年間・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・故なら、こんにちわたしたちにとって最も重要なのは、戦後五年間の日本で、誰の目にもおおいがたくすりかえられて来た反民主的な諸力に対して、わたしたちの生活と文学は、どのようにたたかいつづけてゆくか、というプログラムをもっているか、もっていないか・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・が歴史の深いたたみ目をもっていて、民主化という一つの言葉の中に、ヨーロッパの二世紀と今日のもっとも前進した民主主義とを包含しなければならないという歴史を否定しないならば、自我の問題も世界史のこの雄大なプログラムにしたがって解決してゆかなけれ・・・ 宮本百合子 「自我の足かせ」
・・・宴会のプログラムの最初に置かれたものを余興と称しても、今は誰も怪まぬようになっているのである。 余興の席は廊下伝いに往く別室であった。正面には秋水が著座している。雑誌の肖像で見た通りの形装である。顔は極て白く、脣は極て赤い。どうも薄化粧・・・ 森鴎外 「余興」
出典:青空文庫