・・・商人どもはこのボイコットを如何して見過していよう。彼らは農家の戸別訪問をして糧秣廠よりも遙かに高価に引受けると勧誘した。糧秣廠から買入代金が下ってもそれは一応事務所にまとまって下るのだ。その中から小作料だけを差引いて小作人に渡すのだから、農・・・ 有島武郎 「カインの末裔」
・・・ 十一 排日案に対して、フィルムや、化粧や、耳かくしのボイコットが問題になっている。 ところが先頃ゴビの沙漠の砂の中から地質時代の大きな爬虫のディノソーラスの卵を発見した米国の学者達は、今度はまた中部アジ・・・ 寺田寅彦 「鑢屑」
・・・身が、その心理に、つよいプロレタリア文化・文学の運動忌避の要因をひそめていたから、一つ一つ、曲り角へ出るごとに、この運動には階級性がないこと、プロレタリア文化運動の再建ではないこと、階級意識をもつ人はボイコットすることを証明しなければならな・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・に、何を今更、この忙しいのに、というボイコットが示されているのである。「食べることの方が忙しい」という表現の心理を辿れば、刻下の逼迫は人民がみんな自分たちで何とかやりくって行かなければならないのではないか、という公憤に立っているとも見ら・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・しかし日本放送協会は、手段をつくして放送委員会をボイコットしようとし、一九四七年には組合を分裂させることにも成功した。そしてラジオの民主化が、意識的に停滞させられているうちに、さる六月逓信省は放送事業法案を国会に上程した。 この法案は日・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ 中村武羅夫氏や岡田三郎氏によって、いわゆる転向作家に対するボイコットが宣伝されたとき、私は、ふとその友達の話を思い出したのであった。そして誰の目にも明らかなように、反動的な動機から呈出されている両氏のいい分のかげに隠されているものに対・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・『中央公論』以外のブルジョア・ジャーナリズムも多くプロレタリア作家をボイコットした。然し、それだけで現実の状勢を判断することは出来ない。何故なら同じ正月号の『プロレタリア文学』が店頭に出ると間もなく六千部か七千部を売り切った。 これは『・・・ 宮本百合子 「ブルジョア作家のファッショ化に就て」
・・・ 五ヵ年計画がソヴェト同盟に実行されはじめて、教会と坊主は、プロレタリアートと農民の社会主義社会建設の実践からすっかりボイコットされてしまった。 農村で、青年・貧農・中農たちが現実に有利な集団農場を組織しようとする。農村ブルジョ・・・ 宮本百合子 「モスクワの姿」
出典:青空文庫