・・・生が、ただ研究室での根気づよい努力でラジウムを発見したというだけであったら、その科学的業績に敬意は十分払われるとしても、あの一冊の伝記が世界の人々の胸を呼びさましたような感銘は与えなかったに違いない。ポーランドの寧ろ貧しい一人の女学生であっ・・・ 宮本百合子 「知性の開眼」
・・・それはヨーロッパ列強に分割されたポーランドで生れたショパンのことである。それから崔承喜をはじめ、朝鮮出身の歌手たち舞踊家たちのことである。日本の権力は植民地であった朝鮮の人民の間からすぐれた政治、経済面の活動家が、成長してくることを極力ふせ・・・ 宮本百合子 「手づくりながら」
・・・バルザックがヴェニスやハンガリー、ポーランドやロシアなどで熱烈に愛読され、社交界の貴婦人、紳士がバルザックの作品に現れた人物の名を名乗ってその役割りに扮そうという言いあわせをして或るシーズンはランジェー公夫人だのラスティニャクが社交界に現れ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・列強ブルジョアジーの第二次世界戦争の準備に対し、世界のプロレタリア作家の闘争は激化されるが、東洋のポーランドである日本においてプロレタリア作家の歴史的使命は、革命的大衆の任務とともに画期的なものがある。 林房雄は、プロレタリア作家として・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・単に女主人公の経験だけを描いているのではなく、ソヴェト社会の建設、日本の帝国主義者のファシストとしての活動、日本の小市民家庭、インテリゲンチャの一部の混乱と崩壊、ポーランド、ドイツの労働者へのテロル、帝国主義日本の在外官僚の反ソ的言動、全体・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・世界の物理学が原子の問題をとりあげ得る段階に迄到達していたからこそ、ポーランドの精励なる科学女学生の手はピエール・キュリーの創見と結び合わされ、彼女の手もラジウムの名誉ある火傷のあとをもつようになった。愛は架空にはない。原子が、人間の幸福の・・・ 宮本百合子 「まえがき(『真実に生きた女性たち』)」
・・・オルゼシュコというポーランドの婦人作家の書いた「寡婦マルタ」をよめば、良人に全生活を庇護されてゆくように、その幸福を飾る花であることを目的としたまとまりないいわゆる淑女の教養きり身につけていない善良で気品ある女が、いったん逆境に陥って燃える・・・ 宮本百合子 「ものわかりよさ」
・・・は、そこに連載されたポーランド婦人作家ワシリェフスカヤの作品で、独軍制下にあるウクライナ農民の一つの村に起った物語である。麦の宝庫であるウクライナは、一九一七年から二一年頃までの間もロシアに侵入した反革命軍が食糧庫としようとした。住民たちは・・・ 宮本百合子 「よもの眺め」
・・・普及率の面から見て最低中華民国、スペイン、イタリー、ポーランド、日本という順である。このことと、これらの国々における民衆経済力の低度とを思い合わせる時、ラジオも亦複雑な社会相を語るのである。 又、放送協会は、日本の聴取者が、協会に向って・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・ 中国ソヴェト建設のために、射殺され、首をつられた中国同志の写真も少からず飾られている。ポーランドの暴圧に抗する大衆の写真もある。 革命博物館は今こそ、主としてロシアの革命史を、材料としているが、今にここに世界プロレタリアートの解放・・・ 宮本百合子 「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」
出典:青空文庫