・・・が訳されており、その主人公のジャックの一時期の境遇を描いた「灰色の手帖」「少年園」は一般につよい感銘を与えている。マリイ・オゥドゥウの「孤児マリイ」は何とまざまざと女の子のための孤児院の生活感情を語っているだろう。「格子なき牢獄」という映画・・・ 宮本百合子 「ジャンの物語」
・・・ 青春というものは誰にとっても経過する人生の一時期であるけれども、その経過のしようによっては、歴史が全く夥しい人々の青春を単に消耗するという結果になる。この事実を、人々はどう考えているだろう。一人一人の青春のおのずからな経過と歴史の力が・・・ 宮本百合子 「生活者としての成長」
・・・日本の文学者の一部が、文芸懇話会の成立をめぐって明治文学以来の進歩的伝統をすてた政治的性格をもちはじめたことは、少くとも将来書かるべき日本文学全史の上に、一時期を画した事実なのである。 文芸懇話会は、一千円ずつの文学に対する懇話会賞を与・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・作家横光は、日本における文学史の一時期との相対関係の上から一人のブルジョア作家として、最も不幸なる幸運とでも云うようなものを享受していたと考えられる。小林秀雄氏の評論家的出発点とその存在意義と横光氏のそれとは酷似した運命におかれた。文学の真・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・ 平田イズムが単純に社会的現実から時間的に乖離したのではなく、もっと悪どく当時の政権獲得運動者によって利用され、一般をその嵐にまき込み、しかも一時期の後、素早くそのイデオロギーの利用をすてたところもあるのではないでしょうか。尊王・攘夷と・・・ 宮本百合子 「「夜明け前」についての私信」
出典:青空文庫