・・・しかし文学の実質は低下の一線をたどった。戦争遂行目的のために作家と文学の動員されることはますますはげしくなって「文芸家協会」は「文学報国会」となり、作家のある人々は、積極的に報道員となって中国に行った。日本の戦争の侵略的な帝国主義の本質とそ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ また文学戦線の問題も歴史的推進力を明瞭にしながら人権を守るという点をはっきりして、よりよく生きる可能の向上としておしすすめることで、民主的なものについて最後の線を守ることで前線に立つという最後の一線がなくてはならず、どなたもおいでなさ・・・ 宮本百合子 「批評は解放の組織者である」
・・・、作家の大衆に対する文化的指導性を自身の社会性についての省察ぬきに自認している点、及び、所謂俚耳に入り易き表現ということを、便宜的に大衆的という云い方でとりあげていて、従来の通俗文学との間に、画すべき一線のありやなしやを漠とさせている点等に・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・ 永遠な、過去と未来とを縦に貫く一線は、又、無辺在な左右を縫う他の一線と、此の小さい無力な私の上に確然と交叉して居るのを感じずには居られないのである。 斯うやって考えて来ると、私は、今日の生活が、如何に「智」に不足して居るかを思わず・・・ 宮本百合子 「無題」
出典:青空文庫