・・・ ――ところで小学校の上級生ぐらいの子供は主にどんな本をよみますか? ――第一参考書類、技術的なもの、次は文学です。 ――現代の作家では誰が愛されます? ――さあ……。勿論グラトコフや、リベディンスキー、セラフィモヴィッチな・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・表現の許される限りで、戦争が生活を破壊して、小学校の上級生までが勤労動員させられはじめた日本の現実を描きたいと思った。この年に書いた小説はどれも、作者のその基本的な熱望の上にたっていた。しかし表現はむずかしくてどの作品もかろうじて全篇を流れ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・そんな会話が、あるいは上級生の間にあるだろう。遠足か何かにゆくように、ねえ母さん、誰さんも、誰さんも、ゆくのよ、いいでしょう? ねえ。そういわれた母親たちは、それじゃあまア、すこし勤めて見て工合がわるいようだったらすぐにやめればいいから、勤・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・農村の小地主の娘に生れ、物わかりのよい家兄のおかげで東洋大学にはいった作者が、その上級生の頃から文学的創作の慾望を感じはじめた。そして卒業後は自活のために非常に種々の職業を経験しつつ、現在では「エプロンの裾をぬらして台所にはいずり廻る仕事」・・・ 宮本百合子 「見落されている急所」
・・・国民学校の上級生から中学、専門学校に至るまで、学徒は動員されて工場に働いていたのであるけれども、不規律な工場の労働と、青少年の正しい娯楽設備のない社会の実情とは、急に金を持つようになった青少年達の生活を、決して健全にゆたかにすることは出来な・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫