・・・作品の客観的な批評という今日での常識さえ、その時分は平林初之輔によって「外在批評」というような表現で提起されるありさまであった。文芸批評はそのころすべて主観に立つ印象批評であったから、在来の日本文学の世界の住人たちの感情にとって、プロレタリ・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・これより先、印象批評に対して、「外在批評」ということが云われており、そのことでも、主張されるところは、文学の評価に何らかの客観的なよりどころを求めるものであったが、蔵原は、ぼんやり客観的と云われていた基準に社会的な内容附けを行った。プレハー・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・世界文学は、プロレタリア文学運動が文学作品の価値評価を主観的な内在的な評価のよりどころから解放して、もっと客観的な社会的な外在的なものにしたことではじめて本質的飛躍をとげました。日本では、この文芸批評の正当な伝統が戦争によっておそろしく中断・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ プロレタリア文学運動の初期に、平林初之輔によって外在批評の提唱がされ、だんだん客観的・科学的な評価の基準が究明されていった。一九三三年プロレタリア文学運動がまったく抑圧されてしまうころ、まだ日本の進歩的な文学における評価の基準は、しん・・・ 宮本百合子 「両輪」
出典:青空文庫