・・・防空演習が、防空という実質より、一致精神の鍛錬めいたものとなってからは、そんなに弱い娘の子がいて運搬がむずかしいという実際さえも、何か精神の不一致を意味するように見られて、うちのものは漠然と気味わるがった。田舎に避けて暮す、ということも強制・・・ 宮本百合子 「田端の汽車そのほか」
・・・に納得できず、作家同盟の常任委員会で常に当時の書記長その他の見解に不一致であった。しかし理論的に未熟であり、運動に経験のないために客観的には明瞭に誤っている結論に従うほかなかった。 執筆一月。一連の非プロレタリア的作品。八・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・もし煩悶がないとしても、組合の仕事などとの間に何かの不一致、何か気持のぴったりしないということなどが、しばしばサークルにいる人たちの間などで問題になっています。民主的な小説を書きたいと思っている、だけれども労働者には時間がない、組合の活動は・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・双方に何か不一致があるときは、具体的にその一致点を研究し、公平に見て、くらべて、一致点を発見して行こうとしないだろうか。一方のより金の力のつよい側に一方の悪口をいったりするのは、おべっかか、お追従として、日本の気質が下劣と認めている態度であ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫