・・・真に愛を人生に抱くなら、なぜ資本主義文明が、益々人間生活の不平等を造りつゝあるのに、黙止するのか。科学的精神を尊重するなら、この社会をより善くすることに於てのみ個人を善くする理義を弁えて、自己享楽を捨てようとはしないのか。 若し、現時の・・・ 小川未明 「芸術は革命的精神に醗酵す」
・・・キリスト教の精神が死んでいなかったならば、彼等は賃金制度によって人間が奴隷化され、自由競争によって不平等不公平を来たしたこの階級を、むしろ当然のことのように見なし、他を虐げて怪しまない今日の社会制度に対して黙っていられるわけがない。彼等の称・・・ 小川未明 「反キリスト教運動」
・・・それ故進歩的思索を可能とする婦人は、先ず家庭の男に対する不平等の不満から正義派となり、その正義派的不満を唯物論によって武装せず個人的に観念化することにおいて、微妙に道徳感、宗教的世界観と結びつく。 故に、ブルジョア文化の歴史において婦人・・・ 宮本百合子 「婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?」
・・・例えば第十四条から第十九条に至る妻の無能力ということに関する条項、第八百一条から第八百四条に至る財産に対する妻の無権利、第八百十三条の離婚についての不平等な規定、第八百八十六条から第八百八十七条に至る親権において母の権利の制限されていること・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫