・・・ オオドゥウは中部フランスの寒村に生れた孤児であった。育児院で育てられて、十三歳からノロオニュの農家の雇娘で羊飼いをした。巴里へ出てからは十九歳の裁縫女として十二時間労働をし、そのひどい生活からやがて眼を悪くして後、彼女は自家で生計のた・・・ 宮本百合子 「知性の開眼」
・・・ オノレ・ド・バルザックは、一七九九年五月、フランスが共和政体となった第七年目に中部フランス、トゥールの町に生れた。 貴族好みで「ド」をつけて自分の姓を呼んだが、バルザックの実際の家柄は貴族などではなく、彼が後年獰猛なのがその階・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ 幼年時代 マクシム・ゴーリキイは、一八六八年三月二十八日、ロシアでは最も古くから発達した中部商業都市の一つであるニージニ・ノヴゴロド市に生れた。本名は、アレクセイ・マクシモヴィッチ・ペシコフと云った。父親はマ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ さて、マクシム・ゴーリキイ、本名アレクセイ・マクシモヴィッチ・ペシコフは、一八六八年三月二十八日、中部ロシアのニージュニ・ノヴゴロド市で生れた。父親はある将校の息子であったが、十七歳になるまでに五度も家出をくわだてた。父親である将・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ 一八六四年、中部フランスの貧しい家に生れ、五つ位のとき母に死なれ、後は父親がぐれ出して孤児院で育った。十四五歳から後は孤児院から農家の羊番娘にやらされ、十九歳ぐらいのとき、巴里へ出て来た。女裁縫師としてオオドゥウの辛苦の生活が大都会の・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫