・・・その主旨ははなはだめでたい。しかしそういう方法ではたして世の中の醜い病が絶やされるものであろうか。薬はよく売れても、おそらく病のほうはかえってますます広がりはしないだろうか。もう少し積極的なあるものの力でそういう病にかからない根本的素質を養・・・ 寺田寅彦 「写生紀行」
・・・提案の主旨は日本の人民的な民主主義革命を達成する主導力は、労働者階級であるという点から出発した。一九四八年二月の新日本文学をみると徳永直は「勤労者文学をもっと前におし出すこと」という表題で、みじかい文章をかいている。そのなかで彼が第三回大会・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 甲府の渡辺貴代子氏来罹災民への衣類寄附の為、三宅やす子、奥むめおその他と集ってしようと云う。主旨賛成、但、彼女の粗野なべらんめえ口調にはほとほと参ってしまった。 二十八日 英男縫いものの材料としてまとめて置いたぼろを持って・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
・・・ 全篇の結論として、目下問題とされている家族制度、家庭生活改善の理想を徒に外国の風習などに摸倣せず、日本は日本民族独特の見地から、識見を以て発足すべきであると云う主旨には、恐らく何人も意義を挾む者はないでしょう。 あらゆる国々の習俗・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・私の書いているその評論の全主旨はプロレタリア文学の存在否定でない。 一篇の評論はその全文を、一冊の本はその全頁を通して読まれ理解されるのが自然だと思う。プロレタリア文学の伝承を忌避したがる一部の人々があるが今日力をつくして拒否すべきもの・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
出典:青空文庫