・・・ それにひきつづく略十年間、一九三三年頃まで文学の主潮はプロレタリア文学にあり、日本の歴史のふくむ複雑な数多の原因によってこの潮流の方向が変えられると共に、文学は、その背景である社会一般の生活感情にあらわれた一種の混迷とともに画期的な沈・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・私は『鋲』『主潮』『関西文学』その他を見て編輯に従事している若い活動家が闘っているであろうさまざまの、今日の情勢独特の困難を想像した。そしてこれらの雑誌がともかく刊行されているのは主として東京以西あるいは近隣の地方都市においてであって、東北・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・について云々したりすると、そこに一応読者が生じるのは、古典文学の主潮としての「もののあわれ」そのものが知りたいというより、佐藤春夫氏という現代の作家に対する予備知識なり親しさなりで、そのとりあげた問題に一時たりとも目をとられるのである。批判・・・ 宮本百合子 「文学上の復古的提唱に対して」
出典:青空文庫