・・・ただそこには調練と沙漠の行軍と描き出されてはいない敵との交戦があるだけである。これらの描写を通して、ルドヴィッチが最後にクリスチアーナに向って深刻な顔つきで訣別をつげる気持の変化を理解しようとすれば、一つの単純な形で語られている軍人気質、愛・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・彼女は交戦中フランス、ベルギーの三四百の病院をたえず廻った外、一九一八年には北イタリヤまで活動をひろげた。そこで彼女は放射能を持つ物質の資源を調査したのであった。専門の治療者も急速に養成されなければならない。ラジウム研究所でその仕事が始めら・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人」
・・・軍時に、ソヴェト軍隊と、交戦中の敵国住民大衆にアッピールするものと仮定したパンフレット、それにはクラブ用の小脚本、レヴュー台本、プラカート用の詩、スローガンなどを盛りこんだパンフレットの発行である。 軍事状態の中にあって各自の文学的政治・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・すべての交戦国にとって銃後というものは存在しなくなった。戦災という言葉は戦争によってひきおこされた輪の外での災難を意味してつかわれているようだけれども、そして、なにか附随的な現象であり、それは、のがれたものとのがれられなかったものとは本人た・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・「マ元帥、全面的に承認」という記事が、あわせてのせられていた。「交戦権抛棄の特点指摘」という小見出しもついていたから、世界平和の確立のために、ともかくその点だけでも評価されたのであろうと思った。訓練ある民主精神が、この奇妙な改正草案の矛盾の・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
出典:青空文庫