・・・試験の成績やメンタルテストで人材登用のスケールをきめようとするのが一つ。経済関係の見地だけから社会制度を決定しようとするのもその一つであろう。 これは考えものである。 寺田寅彦 「猿の顔」
・・・学風の新鮮を保ち沈滞を防ぐためにはやはりなるべく毛色のちがった人材を集めるほうがかえっていいかもしれないのである。同じことは他のあらゆる集団についても言われるであろう。 それはとにかく、ある時東海道の汽車に乗ったら偶然梅ヶ谷と向かい合い・・・ 寺田寅彦 「相撲」
・・・の中で非組織的な小市民的反抗を自然発生的に示した、明治のブルジョア官僚=官員はほとんどことごとく階級層においては革命的農民と対立した地主的勢力の取巻き志士団のくずれであったこと、故にひろく衆をあつめる人材登用なるものも、実質的には地主的勢力・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・ 党は多くの人材を加え、婦人の間にも代議士その他として有能な活動家を出しているとき、実際に働けないとわかっているものを立たせ、当選させ大衆の信頼を裏切ることが賢明といえるでしょうか。わたしが健康をもっていないことは残念ですが、わたし自・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・けれども、相方がある程度までは異性になれていること、周囲に比較すべき文化、人材の多いこと。並に、当人達も、田舎よりは情操の訓練を受ける機会が多いため、概して軽浮な中にも敏感で、よくいえば趣味よく、悪くいえば狡く打算をもって感情を整理して行く・・・ 宮本百合子 「惨めな無我夢中」
出典:青空文庫