・・・其処で棺の中で生きかやった時に直ぐに棺から這い出られるという様な仕組みにしたいという考えも起こる。 棺の窮屈なのは仕方が無いとした所で、其棺をどういう工合に葬むられたのが一番自分の意に適っているかと尋ねて見るに、先ず最も普通なのは土葬で・・・ 正岡子規 「死後」
・・・ほんとうに新しい人間らしい仕組みの社会をつくってゆくことに協力し、そうしてつくられる社会の下で更に美しく男女が協力して生きられる人生を計画していると思う。 あらゆる職場、あらゆる学校の生活で、自然な協力が両性の間にもたれるべきだと思われ・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・人生とは、そのように、働きかける人間の意志や努力にかまいなく、ひとりでに人間ができ上れる仕組みのものであろうか。 新たな生活条件、古い生活条件、その間の摩擦そのものは、現実的には新たなねうちを生み出す可能性としてのみ存在するものである。・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・この日、ラジオの解説の時間は、戦時利得税、財産税というものの正体がつまるところは大衆課税であって、より多くの持てる者が、持たざるものよりも遙に有利に権力によって守られる仕組みにできていることを、確認させたのであった。この課税の方法によると大・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・では、その二つの極を、どういう仕組みで繋いだら、一番総ての人の満足に近づくことが出来るだろうか。そういう風に考えを展開させてゆくことは、人間が、社会生活の裡に生き、互の協働によって生活を保って来た歴史的な習慣から、ごく自然な当り前な道である・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・そして、その眼が精妙な仕組みのなかに私たちの愛するものの姿を映したとき、あるいは美しいものを映したとき、私たちの全心に流れわたる愉悦の感覚は、眼そのものにさえつやと輝きとを増す肉体と精神の溌剌可憐な互のいきさつを、ひしひしと自覚しているので・・・ 宮本百合子 「幸福の感覚」
・・・ その本棚について調べると、或る特定の問題について何を読むべきかが、人にきかないでもわかる仕組みになっているのだ。 段々歩いて見ると、こういう本棚をこしらえたのはそこばかりではなかった。これも、ソヴェト五ヵ年計画の素晴らしい成果の一・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・大衆小説のどっさりのる雑誌は講談社のキングその他新聞社、博文館などの娯楽雑誌で、そういう雑誌では同じ経済記事にしろ勤労大衆がそれで生活している労働賃銀とはどういう仕組みのものであるか、働く時間とその賃銀の関係はどうなっているか、というような・・・ 宮本百合子 「商売は道によってかしこし」
・・・ ロマンティストたちの破れた夢のみなもとまで探り入って、その底にある仕組みにふれて、人間再建がのぞまれた時代を経て、最近の数年は多くの作家・評論家にとって、女は題材であり無視出来ない読者ではあるが、真の芸術的な主題として把握して、その運・・・ 宮本百合子 「職業のふしぎ」
・・・日ごろ進歩的な意見をもっている作家である豊島与志雄、新居格氏などからさえ、この新聞はまるで共産党系統のだれかが暴力的行為を仕組みでもしたような話をひき出している。田中耕太郎氏の談話などは、事件が明瞭にされたときには、共産党に対するその発言の・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
出典:青空文庫