・・・最後の幕切れに、昔からの「一同仰天」の型で一応きまる。がメイエルホリドはそこで幕にしない。つづけて直ぐ市長が発狂する。ピーピーつづけざま呼笛が鳴る。狭窄衣がとび出す。赤いプラカートがスルスルと舞台一杯におりて来て、舞台からとびおりて俳優が観・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ かなりの間は、恐ろしく不安な生活をさせられて居る鳥達もどうやら斯うやら息才(で居たが、一羽大きな牝鶏がけんかの拍子に眼玉を突つかれたなり、生れもつかない目っかちになったと云う大事変が孝ちゃんの家中を仰天させてしまった。「入目をさせ・・・ 宮本百合子 「二十三番地」
・・・ よもやと思い固めたことが全く違ッてしまったことゆえ、今さら母も仰天したが、さすがにもはや新田のことよりは夫や聟の身の上が心配の種になッて来た。「さてはその時に民部たちは」「そのこと、まことそのことにおじゃるわ。おれがこれから鎌・・・ 山田美妙 「武蔵野」
出典:青空文庫