東京美術学校文学会の開会式に一場の講演を依頼された余は、朝日新聞社員として、同紙に自説を発表すべしと云う条件で引き受けた上、面倒ながらその速記を会長に依頼した。会長は快よく承諾されて、四五日の後丁寧なる口上を添えて、速・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
・・・なし〕どうしてかと云うともし山男が洋行したとするとやっぱり船に乗らなければならない、山男が船に乗って上海に寄ったりするのはあんまりおかしいと会長さんは考えたのでした。 さてだんだん食事が進んではなしもはずみました。「いやじっ・・・ 宮沢賢治 「紫紺染について」
・・・高野岩三郎氏が死去されたのちNHKの会長となった古垣鉄郎氏は、英語もフランス語も達者であろうし、行儀がいいことが必要な時と場合の分別もあり、貴族院議員だったし、文化人であろうけれども、NHKは、新会長によって会長流民主化におかれざるを得ない・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
・・・ツで日本は世界の最前列に伍していることや、所謂躍進日本の他の一面としての文化紹介を欲する政府当局の意嚮などが、外務省文化事業部へ反響して、先ず国際文化振興会が半官的な組織で成立し、つづいて島崎藤村氏を会長とする日本ペン倶楽部が組織された。・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・日本文化連盟会長松本学氏賛助、会員二十三名。行動をさける建前で、文壇のほか美術、楽壇からの参加も見る筈であり、綱領、会則等の規定なく、会員の加入脱会も自由という「フリーな立場で日本の神経を掘り下げる」組織としてあらわれた。会員の顔ぶれとして・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・の現実にむき出されている矛盾が、おのずから、これらの諸文化団体を含む支配的傾向の特殊な一面性を告白しているのである。 伝えきくところでは、長谷川如是閑氏が「新日本文化の会」の会長になるそうである。『日本評論』の匿名リレー評論をよむと、日・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・元大審院部長・元司法次官三宅正太郎という人が、中央労働委員会の会長に就任した。これは、世界にも類のない民主化の方法である。 同時に主要食糧供出に対する強権発動のことが云われている。申告すべき退蔵物資の十六種目一覧表も載った。ここに又一つ・・・ 宮本百合子 「モラトリアム質疑」
・・・刊行責任者となり、飢饉救済委員会長として、国際的なアッピールを行った。ロシアの大衆を圧していた限りない不幸、その軛がはずされたこと及びゴーリキイ自身物心づくとからそれによって心臓をひんむかれるような苦痛を感じて来た沼のような無智、野蛮、屈従・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
出典:青空文庫