・・・選挙準備の期間を通じて、新聞が報じたのは、選挙に対する一般の気のりうす、低調ということであった。 ところが、いよいよ結果が検べられてみると、先ず棄権率が非常にすくなかったことがわかった。全国平均僅か二割七分七厘の棄権しかなかった。そして・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・この誤解は、その半面に、さっきもそれについて触れた些末的写実主義の潮流とより添って流れたために、当時作家達が所謂自由になってのびのびと書き始めた諸作品は、要するに低調な日常茶飯的身辺小説、主観的な私小説の域を遠く出ることが出来なかったのであ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・ 現代は一方に一種の精神主義がひろがっていて声高くものをいっているのであるが、その片面にこういう精神活動の低調さや、にぶりが目立つということは、日本の明日への文化のためにやすんじてよいことなのだろうか。 婦人たちがますます本を買って・・・ 宮本百合子 「婦人の読書」
出典:青空文庫