・・・ こういう光を散らす微粒はその散らす光の振動方向に片寄りを生ずる、いわゆる偏光を生じる。それで空の光を適当な偏光器で検査すれば、空の部分によって偏光の度や偏光面の方向が規則正しく分布されている事が分る。この偏光の度や配置を種々の天候の時・・・ 寺田寅彦 「塵埃と光」
・・・ それでもしこのような片寄りがちの運転状況を避けて、もう少し均等な分配を得たいというならば、そのために採るべき方法は理論上からは簡単である。第一には電車の車掌なり監督なりが、定員の励行を強行する事も必要であるが、それよりも、乗客自身が、・・・ 寺田寅彦 「電車の混雑について」
・・・ この常識から見れば奇妙な偏りをもった古典文学謳歌の傾向が、ともかく自身のために語り得る場処をもち得ているという可能の条件に就て、自明な情勢はもとよりのこととして、更に文化の面から考察が進められなければなるまいと思う。アカデミックな国文・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫