・・・という言葉を、本当に生活のなかから湧きいでた女性の健やかな美感への成長として実感してゆくのも来年の事だし、こんなに炭の不足している一冬を、互に協力して体も丈夫に仕事も停滞させず過しぬいたという経験が、社会的な辛苦に対して女性をはっきり目ざま・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・何故なら、私たちすべては、何らかの形で今日そのようなものとしての切り口を見せている歴史をうけつがなければならず、しかもそこから健やかな革命的教訓を最大の可能において引き出して来なければならないのであるから。 率直に感想を述べると、私には・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・日本の近代精神のより健やかなる展開のために先ず入用なのは、誤った技術家が非科学的に使う剪定鋏を引きこませること、及び悪条件にもちこたえつつ、どうやら命脈を保ちつづけて来た一条の民主的、合理的精神の幹に、全く科学的に考慮された接木をして、豊か・・・ 宮本百合子 「よもの眺め」
・・・それは生命の流動に統一ある力強さを与えるべく、また生命の発育を健やかな豊満と美とに導くべく、生活にとって欠くべからざる任務を有する。これなくしては人は意識の混沌と欲求の分裂との間に萎縮しおわらなくてはならぬ。人が何らか積極的の生を営み得るた・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
出典:青空文庫